『オリジナル10』という言葉を見たり聞いたりしたことがありませんか?『オリジナル10』はJリーグの歴史に深く関わってくる言葉で、特定のクラブを指す言葉でもあります。本記事では、そんな『オリジナル10』について解説していきます。また、J2とJ3のオリジナルクラブについても触れていきます。
オリジナル10の意味と読み方
2023年現在、JリーグにはJ1、J2、J3の全部を合わせて60クラブが所属していますが、1993年のJリーグ発足時はたったの10クラブでした。その10クラブのことを『オリジナル10』と呼びます。最初の10クラブだから『オリジナル10』というわけですね。読み方は『おりじなるてん』です。
オリジナル10の一覧
以下がオリジナル10の一覧です。
- ヴェルディ川崎(神奈川県、現在の東京ヴェルディ)
- 浦和レッドダイヤモンズ(埼玉県)
- ガンバ大阪(大阪府)
- 鹿島アントラーズ(茨城県)
- ジェフユナイテッド市原(千葉県、現在のジェフユナイテッド市原・千葉)
- 清水エスパルス(静岡県)
- 名古屋グランパスエイト(愛知県)
- サンフレッチェ広島(広島県)
- 横浜フリューゲルス(神奈川県、横浜マリノスと合併して消滅)
- 横浜マリノス(神奈川県、現在の横浜F・マリノス)
ヴェルディ川崎
ヴェルディ川崎(現在の東京ヴェルディ)は、オリジナル10の一員としてJリーグに参加し、Jリーグの最初期を盛り上げました。2001年までは神奈川県川崎市でを本拠地とし、それ以降は東京都で活動しています。また、キングカズこと三浦知良がプロとして初めて日本でプレーしたクラブでもあります。
浦和レッドダイヤモンズ
浦和レッドダイヤモンズ(通称、浦和レッズ)は、埼玉県を本拠地とするクラブです。浦和レッズは、Jリーグでも屈指の熱狂的なサポーターを持ち、天皇杯、ヤマザキナビスコカップ(現在のルヴァンカップ)、アジアチャンピオンズリーグで優勝するなど、数多くのタイトルを手にしています。
ガンバ大阪
ガンバ大阪は、大阪府を本拠地とするクラブです。数々のタイトルを獲得してきましたが、特筆すべきなのは2014年の、J1優勝、天皇杯優勝、ヤマザキナビスコカップ優勝の3冠を達成。これは史上初の快挙でした。また、ガンバ大阪は前年をJ2で戦っており、昇格クラブとしてJ1に挑んでいました。そういった意味でも快挙と言えます。
鹿島アントラーズ
鹿島アントラーズは、茨城県を本拠地とするクラブです。国内で最も成功を収めたクラブと言っても過言ではなく、J1は最多の8回優勝、ヤマザキナビスコカップも最多の6回優勝、天皇杯も最多(Jリーグ発足後)の5回優勝しています。
ジェフユナイテッド市原
ジェフユナイテッド市原(現在のジェフユナイテッド市原・千葉)は、千葉県を本拠地とするクラブです。2010年以降はJ2に所属しており、東京ヴェルディと同じくJ2から抜け出せないシーズンが続いています。2005年と2006年のヤマザキナビスコカップを制覇していますが、これを最後にタイトルから縁遠くなっています(2022年時点)。
清水エスパルス
清水エスパルスは、静岡県を本拠地とするクラブです。清水エスパルスは、オリジナル10に選ばれたクラブの中で唯一、企業のクラブではない市民クラブでした。勝ち取ったタイトルの数こそ多くないものの多くのシーズンをJ1で過ごし、名門クラブとしてしられています。
名古屋グランパスエイト
名古屋グランパスエイトは、愛知県を本拠地とするクラブです。本田圭佑や吉田麻也がプロデビューした名門クラブで、ピクシーことドラガン・ストイコビッチや、アーセン・ヴェンゲルが監督を務めていたことでも有名です。
サンフレッチェ広島
サンフレッチェ広島は、広島県を本拠地とするクラブです。2012年にJ1で初優勝し、2013年に連覇を達成しました。連覇を達成したクラブは、東京ヴェルディ、鹿島アントラーズ、横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、サンフレッチェ広島の5クラブのみです。
横浜フリューゲルス
横浜フリューゲルスは、神奈川県を本拠地としていたクラブですが、横浜マリノスとの合併により消滅しました。合併発表後の天皇杯、負けたらシーズン終了=クラブ消滅という状況で、3回戦→4回戦→準々決勝→準決勝→決勝と見事に勝ち進み、決勝で清水エスパルスを破り優勝を果たしました。
横浜マリノス
横浜マリノスは、神奈川県を本拠地とするJリーグのクラブです。1999年、横浜フリューゲルスと合併し、Fの文字を追加した現在の横浜F・マリノスに名称を変更しています。FはフリューゲルスのFだと思われますが、公表はされていません。
オリジナル10はどうやって決まった?
Jリーグ発足にあたり、参加を希望するクラブに『クラブの法人化』『ホームタウンの確立』『収容人数1万5千人以上のナイター設備付きスタジアム』『ホームタウンの確立』『18人以上の選手とプロ契約』『ジュニアチームやユースチームなど下部組織の運営』など全部で7つの条件が提示されました。
当時のサッカークラブは企業の実業団であることから提示された条件を満たすのはハードルが高いものと思われていましたが、20の団体から応募がありました。
当初、この20の団体から8つに絞る予定でしたが、当時の日本がバブル景気で企業が社会貢献に熱意的だったことがあり、Jリーグ加盟を熱望するクラブが多かったことから、10クラブでJリーグを発足することになりました。
逆転で滑り込んだ鹿島アントラーズ
現在、鹿島アントラーズはJリーグクラブの中でもっともタイトルを獲っており、強豪クラブの地位にいますがJリーグ発足メンバー選考の時点では当落線上にありました。
10クラブのうち9クラブが決まり残り1クラブは、当初天皇杯の優勝経験がある『柏レイソル』『ジュビロ磐田』『湘南ベルマーレ』『セレッソ大阪』の中から選ばれる予定でした。
天皇杯の優勝経験がなくJリーグの前身である『JSL(ジャパンサッカーリーグ)』の2部にいた『鹿島アントラーズ』が選ばれる可能性はほとんどありませんでした。
この当落線上の『鹿島アントラーズ』に初代Jリーグチェアマンの『川淵三郎』氏が、当時の日本に無かった『屋根付きで1万5千人収容のサッカー専用スタジアムを用意出来れば考える』という旨の発言をし、これに対して当時の茨城県知事がスタジアム建設を確約。これが決め手となり滑り込みでJリーグ加盟が決まりました。
4部からJリーグに加盟した清水エスパルス
当時、清水エスパルスは『静岡県リーグ』に所属しており、これは『JSL1部』、『JSL2部』、『東海社会人リーグ』、『静岡県リーグ』、と『JSL1部』から数えて『4部』にあたるリーグでした。
この『4部』に所属していた清水エスパルスは戦力面で大きく劣っていると考えられていましたが、清水市が街を挙げてサッカーを盛り上げていたことや、日本代表を輩出したジュニアチームやユースチームを備えていたこと、企業ではなく市民が支えるクラブであることが、Jリーグの理念とマッチしたためJリーグの発足メンバーに選ばれました。
オリジナル10で降格したことない、未降格クラブ
1993年にJリーグが開幕してから30年経っており、降格を経験したオリジナル10のクラブは少なくありません。ですが、一度も降格せずに30年戦い抜いてきたクラブも存在します。以下に降格した経験があるオリジナル10と、未降格のオリジナル10を紹介します。
降格したオリジナル10※カッコ内は降格が決定した年。
- 浦和レッドダイヤモンズ(1999年)
- 東京ヴェルディ(2005年)
- ジェフユナイテッド市原・千葉(2009年)
- サンフレッチェ広島(2002年)
- ガンバ大阪(2012年)
- 清水エスパルス(2015年)
- 名古屋グランパスエイト(2016年)
未降格のオリジナル10 2クラブ
- 横浜F・マリノス
- 鹿島アントラーズ
J2のオリジナル10
1999年に開幕したJ2にもオリジナル10と呼べるようなクラブが存在しています。J2リーグは以下の10チームで開幕しました。
- アルビレックス新潟(新潟県)
- ヴァンフォーレ甲府(山梨県)
- FC東京(東京都)
- 大分トリニータ(大分県)
- 大宮アルディージャ(埼玉県)
- 川崎フロンターレ(神奈川県)
- コンサドーレ札幌(北海道、現北海道コンサドーレ札幌)
- サガン鳥栖(佐賀県)
- ベガルタ仙台(宮城県)
- モンテディオ山形(山形県)
J3のオリジナル10
2014年に開幕したJ3にもオリジナル10と呼べるようなクラブが存在しています。J3リーグは以下の12チームで開幕しました。
- AC長野パルセイロ(長野県)
- SC相模原(神奈川県)
- FC町田ゼルビア(東京都)
- FC琉球(沖縄県)
- ガイナーレ鳥取(鳥取県)
- グルージャ盛岡(岩手県、現いわてグルージャ盛岡)
- Jリーグ・アンダー22選抜(2015年に活動終了)
- ツエーゲン金沢(石川県)
- 福島ユナイテッドFC(福島県)
- 藤枝MYFC(静岡県)
- ブラウブリッツ秋田(秋田県)
- Y.S.C.C.横浜(神奈川県)
まとめ
オリジナル10は、1993年のJリーグ開幕時に参加した10クラブのことを指します。これらのクラブはJリーグの黎明期を支え、現在のJリーグの発展に大きく貢献おり、鹿島アントラーズと横浜F・マリノスはその歴史で一度も降格することなく戦い続けています。また、1999年に開幕したJ2と、2914年に開幕したJ3においてもオリジナル10のような存在があります。