現在『イギリス』には『イングランド代表』『ウェールズ代表』『北アイルランド代表』『スコットランド代表』が存在し活動していますが、なぜ『イギリス代表』ではないのでしょうか?
今回は『イギリス代表』が存在しない理由を解説していきます。
世界最古のサッカー協会が誕生
『1863年』当時バラバラだったサッカーのルールを統一するため、世界最古のサッカー協会である『FA(Football Association)』が設立されました。
通常『Japan Football Association』のように国名が付きますが『FA』は世界で初めて出来たサッカー協会であるため国名が付きません。
『FA』が設立された10年後の『1873年』に『スコットランドサッカー協会』、13年後の『1876年』に『ウェールズサッカー協会』、17年後の『1880年』に『北アイルランドサッカー協会』が設立されました。
- 1863年 FA設立
- 1873年 スコットランドサッカー協会設立
- 1876年 ウェールズサッカー協会設立
- 1880年 北アイルランドサッカー協会設立(※設立時はアイルランド全体)
1つの国に4つの教会が設立されたということですね。
FIFA(国際サッカー連盟)の設立
『FIFA』はサッカーの世界大会開催を目標とし『1904年』に設立されましたが『1つの国で1つの教会』という原則があったことや、他国とのレベル差を理由に『イギリス』は加盟しませんでした。
『FIFA』は当時最もレベルが高く影響力のある『イギリス』に加盟して欲しかったため、イギリスの4協会が加盟することを認めました。
『FIFA』はこれ以降一定の自治が行われている地域からの加盟を認めています(香港、マカオ、フェロー諸島など)。
イギリス代表のオリンピック
『1908年』にサッカーがオリンピックの正式種目になってから『イギリス代表』は、『1972年』までの間『1924年』『1928年』『1932年』の3大会以外に参加し、2つの金メダルを獲得しました。
ですが『1972年』を最後に長い『イギリス代表』は結成されず、オリンピックに参加することはありませんでした。
2012年ロンドンオリンピックでイギリス代表が結成
自国開催となった『2012年ロンドンオリンピック』。
開催国として出場権を得た『イギリス』は当初『イギリス4協会』を統一した『イギリス代表』を結成することが検討されたものの『スコットランドサッカー協会』が反対し、断念。
開催国がチームを出さない訳にはいかないので『イングランド代表』を出場させる運びになりましたが『イギリスオリンピック委員会』を中心に交渉し『イギリス代表』の結成が決定しました。
しかし『スコットランド』と『北アイルランド』の選手は選出されず『イングランド』と『ウェールズ』の選手のみで『イギリス代表』が結成されました
『ロンドンオリンピック』後も『イギリス代表』の結成が検討されましたが『FA』以外が反対し実現していません。
ユニバーシアード
ユニバーシアードは国際大学スポーツ連盟主催の大学生のオリンピックです。
サッカー競技は『1979年~2019年』の間に開催され『イギリス代表』は定期的に結成されており、銀メダルを2回、銅メダルを1回獲得しました。
まとめ
今回は『イギリス代表』が存在しない理由を解説しましたが、いかがだったでしょうか?
『FIFA』は当初『1つの国で1つの教会』という原則を定めていましたが『FIFA』の設立以前に『イギリス4協会』が設立されていたため、4協会の加盟を認めました。
そのため今でも『イギリス代表』は存在せず『イギリス4協会』でそれぞれの別の代表チームが活動しています。