ベルギーのプロサッカークラブである『シントトロイデン』には現在多くの日本人が在籍しています。ベルギーのクラブであるにも関わらず、何故こんなにも日本人が多いのか疑問に思いませんか? 本記事では『シントトロイデン』に日本人が多い理由について解説していきます。
シントトロイデンはどんなクラブ?
『シントトロイデン』とは1924年に創設された、ベルギーのリンブルフ州、シント=トロイデンをホームタウンとするプロサッカークラブで、ライバルは同じリンブルフ州のゲンク。ホームスタジアムは『スタイエン』。なお、2023年2月に大王わさび農場が命名権を取得し『大王わさびスタイエンスタジアム』を新しい名称にしました。
1部リーグの優勝経験はなく、最高成績は1965/66シーズンの2位。また、メジャーなタイトルはなく、2部優勝が4回と、7回しか開催されなかった『ベルギーリーグカップ』で1回優勝したのみとなっています。
シントトロイデンに日本人は何人いる?
2023年8月現在、シントトロイデンには過去多『9人の日本人選手が在籍』しています。
- シュミット・ダニエル(31歳)
- 橋岡大樹(24歳)
- 林大地(26歳)※ドイツ2部ニュルンベルクに期限付き移籍中。
- 岡崎慎司(37歳)
- 伊藤涼太郎(25歳)
- 小川諒也(26歳)
- 山本理仁(21歳)
- 藤田譲瑠チマ(21歳)
- 鈴木彩艶(20歳)
シュミット・ダニエル
- 生年月日:1992年2月3日(31歳)
- 出身地:アメリカ合衆国
- 利き足:右足
- 身長/体重:197㎝/88kg
- ポジション:ゴールキーパー
- 前所属:ベガルタ仙台
- 加入:2019年8月
2019年7月にベガルタ仙台から加入。シュミット・ダニエルは、現在所属する日本人選手の中で最古参であり、2023年2月にはベルギーリーグ通算100試合出場を達成しています。
橋岡大樹
- 生年月日:1999年5月17日(24歳)
- 出身地:埼玉県
- 利き足:右足
- 身長/体重:184cm/80kg
- ポジション:ディフェンダー
- 前所属:浦和レッズ
- 加入:2021年1月
2021年8月に浦和レッズから加入。当初は約半年の期限付き移籍でしたが、同年の12月に完全移籍しました。2022/23シーズン終了時点で、リーグ戦通算68試合出場、10アシストの成績を残しています。
林大地
- 生年月日:1997年5月23日(26歳)
- 出身地:大阪府
- 利き足:右足
- 身長/体重:178cm/74kg
- ポジション:フォワード
- 前所属:サガン鳥栖
- 加入:2021年8月
2021年8月にサガン鳥栖から加入。2022/23シーズン終了時点で、リーグ戦通算56試合出場、14ゴール、2アシストの成績を残しています。2023年6月からドイツ2部のニュルンベルクに期限付きで移籍しています。
岡崎慎司
- 生年月日:1986年4月16日(37歳)
- 出身地:兵庫県
- 利き足:右足
- 身長/体重:174cm/76kg
- ポジション:フォワード
- 前所属:カルタヘナ
- 加入:2022年8月
カルタヘナの退団後、2022年8月にフリーで加入。日本代表通算50得点、プレミアリーグとスペイン2部で優勝を経験した頼れるベテランです。2022/23シーズン終了時点で、リーグ戦通算30試合出場、1ゴール、2アシストの成績を残しています。
伊藤涼太郎
- 生年月日:1998年2月6日(25歳)
- 出身地:大阪府
- 利き足:右足
- 身長/体重:174cm/66kg
- ポジション:ミッドフィールダー
- 前所属:アルビレックス新潟
- 加入:2023年6月
2023年6月にアルビレックス新潟から加入。前所属の新潟には2022年に加入し、チームのJ2優勝に貢献。J1昇格後は16試合7得点4アシストでチームの攻撃をけん引する活躍をみせ、シーズンの途中でシントトロイデンへの加入が決定しました。
小川諒也
- 生年月日:1996年11月24日(26歳)
- 出身地:東京都
- 利き足:左足
- 身長/体重:183cm/78kg
- ポジション:ディフェンダー
- 前所属:ヴィトーリア・ギマランイス(ポルトガル)※FC東京から期限付き移籍で加入
- 加入:2023年6月
2023年6月にFC東京から期限付き移籍で加入。前所属のヴィトーリア・ギマランイスには、FC東京から期限付き移籍で加入していましたが、完全移籍することなく契約を満了しました。契約満了後はFC東京に復帰せず、シントトロイデンに期限付き移籍しました。
山本理仁
- 生年月日:2001年12月12日(21歳)
- 出身地:神奈川県
- 利き足:左足
- 身長/体重:179cm/73kg
- ポジション:ミッドフィールダー
- 前所属:ガンバ大阪
- 加入:2023年6月
2023年6月にガンバ大阪から期限付き移籍で加入。2019年シーズンからトップチームに昇格した東京ヴェルディでは、3シーズン半でJ2リーグ104試合出場。2022の7月にガンバ大阪に完全移籍しました。
藤田譲瑠チマ
- 生年月日:2002年2月16日(21歳)
- 出身地:東京都
- 利き足:右足
- 身長/体重:175cm/76kg
- ポジション:ミッドフィールダー
- 前所属:横浜F・マリノス
- 加入:2023年7月
2023年7月に横浜F・マリノスから加入。2024年に開催されるパリオリンピック世代であり、2022年7月にはE-1選手権でA代表デビューしています。
鈴木彩艶
- 生年月日:2002年8月21日(20歳)
- 出身地:埼玉県
- 利き足:右足
- 身長/体重:190cm/91kg
- ポジション:ゴールキーパー
- 前所属:浦和レッズ
- 加入:2023年8月
2023年8月に浦和レッズから期限付き移籍で加入。
シントトロイデンに日本人が移籍する理由
シントトロイデンに多くの日本人選手が移籍する理由は3つ考えられます。
- 外国人にとって挑戦しやすいリーグ
- ステップアップのリーグ
- オーナーが日本企業
挑戦しやすいリーグ
各国のリーグには、外国人選手を登録できる人数や、試合に出場できる人数を制限する『外国人枠』というものがありますが、ベルギーリーグには外国人枠がありません。
その代わりにベルギー国内で育成された選手を最低6人トップチームに登録する必要があるだけです。
外国人枠の問題で出場機会を失う心配がないため、ベルギーリーグは日本人に限らず外国人にとって挑戦しやすいリーグと言えます。
ステップアップのリーグ
最高峰のリーグとして欧州5大リーグと呼ばれるものがありますが、これらのリーグにJリーグから直接移籍して活躍することは、サッカーのレベルや言語面、環境面などの障壁があり、難しいものがあります。
また、欧州でのプレー経験がない選手は、クラブ側からすると獲得しづらい面もあります。そのため、まずはベルギーリーグで欧州の環境やサッカーのレベルに慣れ、欧州での実績を作り、その後欧州5大リーグへのステップアップを狙います。
オーナーが日本企業
2017年11月15日、日本企業の『DMM.com』が『シントトロイデン』を買収しました。
シントトロイデンのCEOである立石敬之氏によると、このプロジェクトの理念の中枢には、日本サッカーの欧州拠点化というコンセプトがあるそうです。そのコンセプトによって多くの日本人を獲得しています。
代表的な例として、冨安健洋、遠藤航、鎌田大地(レンタルで加入)が挙げられます。
DMM.comが欧州の数あるクラブからシントトロイデンを選んだ理由は、ベルギーが地理的に(欧州主要リーグの)スカウトの目に入りやすことや、外国資本に対するハードルが低いことが背景にあります。
また、前述の通り、ベルギーリーグの外国人枠は比較的緩く、日本人に限らず外国人が挑戦しやすいことも理由に挙げられます。
シントトロイデンの歴代日本人
シントトロイデンに在籍した歴代日本人は以下の通りです(太字は在籍中)。
- 小野裕二(2015年7月~2017年1月)
- 関根貴大(2018年7月~2019年6月※レンタルで加入)
- 遠藤航(2018年7月~2020年4月)
- 冨安健洋(2018年1月~2019年7月)
- 鎌田大地(2018年8月~2019年5月)
- 木下康介(2019年1月~2019年7月)
- 鈴木優磨(2019年7月~2022年1月)
- 伊藤達哉(2019年8月~2023年6月)
- シュミット・ダニエル(2019年8月~)
- 松原后(2020年1月~2022年6月)
- 中村敬斗(2020年6月~2021年2月※レンタルで加入)
- 橋岡大樹(2021年1月~)
- 林大地(2021年8月~)
- 原大智(2021年8月~2022年6月、2023年1月~2023年6月※どちらもレンタルで加入)
- 香川真司(2022年1月~2022年12月)
- 岡崎慎司(2022年8月~)
- 伊藤涼太郎(2023年6月~)
- 小川諒也(2023年6月~)
- 山本理仁(2023年6月~)
- 藤田譲瑠チマ(2023年7月~)
- 鈴木彩艶(2023年8月~)
まとめ
シントトロイデンに多くの日本人選手が在籍している理由は、日本の企業がオーナーであること、ベルギーリーグが外国人選手にとって挑戦しやすい環境であること、ステップアップの足掛かりになるなどの理由が挙げられました。