サッカーでは手を使うことはゴールキーパーの特権であり、他の選手が手を使うことは禁止されており、反則になってしまいます。ではなぜサッカーは手を使ってはいけないのでしょうか?
今回はサッカーで手を使ってはいけなくなった経緯と、ハンドのルールについて解説していきたいと思います。
サッカーで手を使ってはいけない理由
サッカーのルールが制定される以前は、学校や地域ごとのローカルルールで行われており、違う学校や地域の対戦では秩序がなく乱暴な試合が多発していました。
この状況を変えるべくウィントンとスリングが主導し、ケンブリッジ大学にて統一ルールを制定します。このルールは『ケンブリッジ・ルール』と呼ばれます。
ただ『ケンブリッジ・ルール』制定後も『手を使うことを認める派閥』と『手を使うことを認めない派閥』の2つの派閥に分かれ対立が起きていました。
この状況を変えるため、1863年に『FA(サッカー協会)』設立と『統一ルール』の制定が行われます。議論の末、『手を使うことを認めない派閥』が勝利し、サッカーは『手を使ってはいけない競技』になりました。
ハンドのルール
サッカーではゴールキーパー以外が手や腕でボールに触れると反則が取られます。これを『ハンドの反則』、またはそのまま『ハンド』といいます。
ただし、手や腕に当たったら全てハンドの反則になる…という単純なものではなく少々ややこしいルールになっています。
『ハンドの反則』が取られた場合、相手チームに『直接フリーキック』が与えれれます。『直接フリーキック』は下の記事で解説しています。
ハンドのルールでは以下の3つのポイントを考慮する必要があります。
- 触れた場所
- 意図的かどうか
- 妥当な位置にあったかどうか
触れた場所
競技規則に以下のように規定されています。
ハンドの反則を判定するにあたり、腕の上限は、脇の下の最も奥の位置までのところとする。
これは脇の下の最も奥の位置より上、つまり『肩』は対象外ということです。下の図を確認してください。
意図的かどうか
競技規則には以下のように規定されています。
競技者が次のことを行った場合、反則となる。
・例えば手や腕をボールの方向に動かし、手や腕で意図的にボールに触れる。
このように『意図的』に手や腕を用いてボールに触れるプレーには『ハンドの反則』が取られます。
逆に、手や腕でボールに触れたとしても『意図的』でなかった場合は『ハンドの反則』にならない可能性があります。
例えば、至近距離で蹴られたボールが手や腕に当たった場合や、予想できないプレーによって手や腕に当たった場合は『意図的』とみなされず、『ハンドの反則』は取られません。
ただし、次に説明する『手や腕が妥当な位置にあったか』を加味する必要があります。
手や腕が妥当な位置にあったか
手や腕が、体から離れた位置にある、大きく上がっている、などプレーをする上で『妥当ではない位置』または『不自然な位置』に手や腕がある場合は『不自然に体を大きくした』とみなされ『ハンドの反則』が取られます。
逆にバランスを取るためや、プレーをする上で『妥当な位置』または『自然な位置』に手や腕があった場合は『ハンドの反則』にはなりません。
ゴールキーパーもハンドの反則を取られる
フィールド上で唯一手を使うことができる『ゴールキーパー』ですが、それは『ペナルティーエリア』の内側でのみ認められています。
もし『ペナルティーエリア』の外側でボールに手や腕で触れたら、他のプレイヤーと同様に『ハンドの反則』を取られます。
手でゴールした場合
ボールが手や腕に当たってゴールに入った場合の取り扱いについて、競技規則に以下のように規定されています。
競技者が次のことを行った場合、反則となる。
(中略)
・相手チームのゴールに次のように得点する。
・偶発的であっても、ゴールキーパーを含め、自分の手や腕から直接。
・偶発的であっても、ボールが自分の手や腕に触れた直後に。
これは、偶然ボールが手や腕に当たった選手が、直接得点したり、得点のチャンスを得た場合、『ハンドの反則』になるということです。
ただし、得点または得点のチャンスを得たのが『味方選手』だった場合は『ハンドの反則』にはなりません。
そして『ハンド』が『意図的』であったり、『手や腕が妥当な位置になかった』場合は、『味方選手』かどうかに関わらず『ハンドの反則』が取られ得点は認められません。
まとめ
今回はサッカーで手を使ってはいけない理由とハンドのルールについて解説しましたが、いかがだったでしょうか?
ハンドのルールは少々複雑で覚えづらいかと思いますが、『触れた位置』『意図的かどうか』『手は妥当な位置にあったかどうか』、この3つを意識してみてください。