世界各国のサッカーの歴史で、1回も2部リーグに降格したことのないクラブが存在します。これは、毎シーズン他のチームを上回り、残留を勝ち取り続けた結果によるものです。
優勝や上位に進出することの陰に隠れがちですが、1部リーグに留まり続けることも十分な成功と言えます。そこで今回はサッカーで降格したことのないクラブを紹介します。※本記事は2023年5時点での情報を元に作成しています。
セリエAから降格したことのないクラブ 3クラブ
セリエAから降格したことがないクラブは『インテル』と『サッスオーロ』の2クラブです。
インテル 1929/30~
『インテル』は、セリエA初年度の『1929/30シーズン』から参加しており、『2022/23シーズン』現在まで降格を経験したことがありません。ライバルの『ACミラン』や『ユベントス』は不正により降格処分を受けた経験があり、『インテル』はセリエA初年度から参加しているチームで唯一降格したことがないクラブです。
サッスオーロ 2013/14~
『サッスオーロ』は『2012/13シーズン』に2部で初優勝し、セリエAに史上初めて昇格を決めました。セリエA初挑戦となった『2013/14シーズン』は、降格圏の18位を2ポイント上回り、17位でギリギリ残留を勝ち取りました。以降、下位~中位をキープし残留し続けています。
ラ・リーガから降格したことのないクラブ 3クラブ
ラ・リーガから降格したことがないクラブは『アスレティック・ビルバオ』と『レアル・マドリード』、『バルセロナ』の3クラブです。
アスレティック・ビルバオ 1929~
『アスレティック・ビルバオ』は、ラ・リーガの初年度から参加しているチームです。ビルバオのバスク人かバスクにルーツがあるか、バスクで育った選手としか契約しない方針をとっており、得られる戦力は限られているはずですが、2023現在でも降格したことがありません。
レアル・マドリード 1929~
世界的な強豪である『レアル・マドリード』は、ラ・リーガの初年度から参加しており、その優勝回数は最多となっています。また、無敗優勝を達成したのは、レアル・マドリードとアスレティック・ビルバオだけです。
バルセロナ 1929~
『バルセロナ』はラ・リーガ初年度に参加した1チームで、降格経験がありません。宿敵のレアル・マドリードも初年度から参加し、降格経験がないため、ラ・リーガでは毎シーズン『クラシコ』が開催されています。
ブンデスリーガから降格したことのないクラブ 6クラブ
ブンデスリーガから降格したことがないクラブは『バイエルン・ミュンヘン』と『ウォルフスブルク』、『レバークーゼン』、『ライプツィヒ』『アウクスブルク』『ウニオンベルリン』の6クラブです。
バイエルン・ミュンヘン 1965/66~
ブンデスリーガが開幕した『1963/64シーズン』に参加することは出来ませんでしたが、2シーズン後の『1965/66シーズン』参入を果たします。その後は常に1部リーグで戦い、11連覇を含む33回の優勝を達成してます。
レバークーゼン 1979/80~
『レバークーゼン』は『1979/80シーズン』にブンデスリーガ昇格して以降、1部に留まり続けており、優勝経こそありませんが、ほとんどのシーズンを1桁順位で終える優等生です。また、最高成績は5回の準優勝です。
ヴォルフスブルク 1997/98~
『1997/98シーズン』に1部に昇格すると、上位に進出したり、残留争いをしたり、浮き沈みの激しいチームではありますが、降格経験はなく1部に留まっています。また、『2008/09シーズン』にはブンデスリーガ初優勝を達成しています。
RBライプツィヒ 2016/17~
『RBライプツィヒ』は5部に在籍していたクラブを『レッドブル』が買収して発足したクラブです。発足後7シーズンでブンデスリーガ昇格を決め、昇格後は準優勝2回、3位2回、最低順位が6と、強豪の地位にいます。
アウクスブルク 2011/12~
『2010/11シーズン』に2部で準優勝し、クラブ史上初のブンデスリーガ昇格を決めました。ブンデスリーガでは殆どのシーズンを中位~下位で終え、残留争いに巻き込まれることも多いですが、『2014/15シーズン』には5位の好成績を収め、ヨーロッパリーグの出場権を得ました。
ウニオン・ベルリン 2019/20~
『2018/19シーズン』に2部で3位に入り、シュトゥットガルトとの入れ替え戦に勝利し、ブンデスリーガ初昇格を決めました。『2021/22シーズン』は5位と躍進を遂げヨーロッパリーグの出場権を獲得。翌シーズンは4位に入りチャンピオンズリーグの出場権を獲得しました。
プレミアリーグから降格したことのないクラブ 8クラブ
プレミアリーグから降格したことがないクラブは『リヴァプール』と『マンチェスター・ユナイテッド』、『アーセナル』、『チェルシー』、『トッテナム・ホットスパー』、『エヴァートン』、『ブライトン』、『ブレントフォード』の8クラブです。
リヴァプール 1992/93~
『リヴァプール』は、プレミアリーグの前身であるフットボールリーグでは3回降格していますが、プレミアリーグに以降後は1度も降格していません。『2021/22シーズン』にはプレミアリーグに移行してから初のリーグ優勝を果たしました。
マンチェスター・ユナイテッド 1992/93~
『マンチェスターユナイテッド』は、前身のフットボールリーグでは『1973/74シーズン』に21位になり、降格を経験していますが、プレミアリーグに移行してからは1度も降格していません。
アーセナル 1992/93~
『アーセナル』は、前身のフットボールリーグでは『1912/13シーズン』に20位になり降格していますが、プレミアリーグでは降格したことがありません。『2003/04シーズン』にはプレミアリーグ史上初、フットボールリーグ時代を含めると2チーム目の無敗優勝を達成しました。
チェルシー 1992/93~
『チェルシー』は、前身のフットボールリーグでは6回降格していますが、プレミアリーグで降格した経験はありません。2003年にアブラモビッチ氏が買収して以降は、5回の優勝を達成し、強豪クラブの一角となりました。
トッテナム・ホットスパー 1992/93~
『トッテナム』は、前身のフットボールリーグで、4回降格していますが、プレミアリーグでの降格経験はありません。『2009/10シーズン』は4位に入り、クラブ史上初のチャンピオンズリーグ出場権を獲得しました。
エヴァートン 1992/93~
『エヴァートン』は。プレミアリーグ移行後は目立った成績は無く、残留争いに巻き込まれるシーズもありましたが、残留し続けています。
ブライトン 2017/18~
『2016/17シーズン』に2部で2位になり、35年ぶり、プレミアリーグが発足して以降初の1部昇格を果たしました。昇格後は残留争いに巻き込まれていましたが『2021/22シーズン』は9位、『2022/23シーズン』は6位と躍進しています。
ブレントフォード 2021/22~
『ブレントフォード』は『2020/21シーズン』に2部で3位になりプレーオフに進出しました。ボーンマスとスウォンジー・シティとの昇格プレーオフを制し、74年ぶり、プレミアリーグが発足してからは初の1部昇格を決めました。昇格後1シーズン目は残留争いに巻き込まれることなく、13位でフィニッシュ。翌シーズンは9位の好成績を収めました。
エールディビジから降格したことのないクラブ 4クラブ
エールディビジから降格したことがないクラブは『アヤックス』と『PSV』、『フェイエノールト』、『ユトレヒト』の4クラブです。
アヤックス 1956/57~
『アヤックス』はエールディビジが開始した『1956/57シーズン』から参加しており、リーグ戦は最多の29回の優勝、チャンピオンズリーグでオランダ勢最多の4回優勝を達成しており、オランダで最も成功したクラブです。
PSV 1956/57~
『PSV』はエールディビジが開始した『1956/57シーズン』から参加しており、アヤックスとフェイエノールトと共にオランダの3強を形成しています。リーグ戦では21回優勝しており、これはアヤックスに次ぐ2番目の数字。また、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグでの優勝経験もあります。
フェイエノールト 1956/57~
『フェイエノールト』はエールディビジが開始した『1956/57シーズン』から参加しており、アヤックスやPSVの後塵を拝することが多いものの、リーグ戦は3番目に多い11回の優勝、ヨーロッパリーグではオランダ勢最多の2回優勝しており、強豪の地位を築いています。
ユトレヒト 1970/71~
『ユトレヒト』は、1970年に3つのクラブが合併して設立されたクラブです。『1970/71シーズン』からエールディビジに参加しており、1度も降格したことがありません。また、リーグ戦で優勝したことはありません。
プリメイラ・リーガ(ポルトガル)から降格したことのないクラブ 3クラブ
プリメイラ・リーガから降格したことがないクラブは『ポルト』と『ベンフィカ』、『スポルティングCP』の3クラブです。
ポルト 1934/35~
『ポルト』はポルトガルの3強の一角で、ほとんどのシーズンを3位以上で終えています。『2010/11シーズン』と『2012/13シーズン』は無敗でリーグ優勝を達成しています。また、ポルトガルのクラブで唯一、2000年以降の欧州の大会で優勝しています。『2002/03シーズン』と『2010/11シーズン』にヨーロッパリーグを、『2003/04シーズン』はチャンピオンズリーグを優勝しています。
ベンフィカ 1934/35~
『ポルト』はポルトガルの3強の一角で、リーグ戦では『2000/01シーズン』の6位が最低順位であり、それ以外のシーズンでは常に4位以上でフィニッシュしています。リーグ戦では最多の38回の優勝を達成しています。
スポルディングCP 1934/35~
『スポルティング』は3強の一角として強豪の地位にいますが、近年はポルトやベンフィカに後れを取ることも多く、2000年以降のリーグ戦での優勝回数は2回。また、3強の中で唯一チャンピオンズリーグで優勝したことがありません。
J1リーグの降格したことのないクラブ 3クラブ
J1リーグから降格したことがないクラブは『鹿島アントラーズ』と『横浜F・マリノス』、『サガン鳥栖』の3クラブです。
鹿島アントラーズ 1993~
『鹿島アントラーズ』はJリーグ発足時のメンバーで、オリジナル10の1チームです。J1で8回、Jリーグカップで6回、天皇杯で5回優勝しており、それぞれ最多優勝となっています(天皇杯はJリーグ発足後の回数)。また、Jリーグで唯一3連覇を達成したクラブです。
横浜F・マリノス 1993~
『横浜F・マリノス』は、オリジナル10の『横浜マリノス』が、同じくオリジナル10『横浜フリューゲルス』を吸収合併して、現在の名称になりました。また、オリジナル10で降格したことがないのは、横浜F・マリノスと鹿島アントラーズだけです。
サガン鳥栖 2012~
『サガン鳥栖』は2011年にJ2で準優勝し、J1への昇格が決定しました。昇格後は中位~下位で終えることが多く、たまに上位に進出しています。リーグ戦やカップ戦での優勝経験はありませんが、J1の中でも下から数えたほうが早いほど、少ない人件費で1部に残留し続けています。