ベルギーリーグでは多くの日本人選手がプレーしており、よくリーグのレベルが高いのか低いのか議論になっています。
また、リーグが導入しているプレーオフ制度が分かりにくく感じている人もいるでしょう。今回は、そんなベルギーリーグの概要やプレーオフの仕組み、レベルが高いのか低いのかについて解説します。
サッカーのベルギーリーグとは?
ベルギーリーグとは、ベルギー国内のプロサッカーリーグであり、その正式名称は『ジュピラープロリーグ』です。これはベルギー国内の大手ビールメーカである『ジュピラー』がスポンサーを務めているためです。
一般的には『ベルギーリーグ』や『ベルギープロリーグ』『ベルギーファーストディビジョン』など様々に呼ばれていますが、本記事では『ベルギーリーグ』とします。
ベルギーリーグには16クラブが参加し、レギュラーシーズンを戦った後、プレーオフによって優勝や降格チームを決定します。※2023/24シーズン以降。
ベルギーリーグのプレーオフの仕組みとは?
ベルギーリーグでは、レギュラーシーズン終了後にプレーオフが行われます。上位チームのプレーオフでは、優勝チームや来シーズンの欧州カップ戦の出場権を決定します。下位チームのプレーオフでは降格するチームを決定します。
ベルギーリーグのレギュラーシーズン
ベルギーリーグのレギュラーシーズンでは、16チームがホーム&アウェーの総当たり戦を行います。レギュラーシーズンの終了時点での1位~6位までの6チームは『プレーオフ1』に進出し、7位~12位までの6チームは『プレーオフ2』に進出します。そして、13位~16位までの4チームは『プレーオフ3』に進みます。
ベルギーリーグのプレーオフ1、プレーオフ2、プレーオフ3
『プレーオフ1』と『プレーオフ2』では、レギュラーシーズンの勝ち点を半分引き続ぎ(小数点以下切り上げ)、プレーオフ3ではレギュラーシーズンの勝ち点をそのまま引き継ぎます。
各プレーオフのグループで、ホーム&アウェーの総当たり戦を行い、最終順位を決定します。この順位はそれぞれのプレーオフ内で変動するものであり、プレーオフ2のチームがプレーオフ1のチームの順位を抜くようなことはありません。
- プレーオフ1
1位と2位が来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権を獲得し、3位のチームは来シーズンのヨーロッパリーグ出場権を獲得。 - プレーオフ2
1位がプレーオフ1の4位と対戦し、勝利したチームが来シーズンのカンファレンスリーグの出場権を獲得。 - プレーオフ3
1位は残留、3位と4位は2部リーグへ降格。2位は2部リーグのプレーオフ勝者(2部の3位~6位で争われる)と対戦し、勝利した場合は残留、負けた場合は入れ替わりで降格。
ベルギーリーグのレベルは高い?低い?
ベルギーリーグでは多数の日本人選手がプレーしており、よくベルギーリーグはJリーグよりレベルが低いと議論になりますが、実際のところはどうなのでしょうか?ベルギーリーグのレベルは高いのか?低いのか?以下の3つの観点から考えてみます。
- UEFAカントリーランキング
- チャンピオンズリーグの成績
- 日本人選手の活躍
UEFAカントリーランキングで測る
リーグのレベルを測るのに、UEFAが発表するカントリーランキングが1つの目安になります。カントリーランキングは各国のクラブの欧州カップ戦での成績に基づいて順位付けされており、アバウトに言えば欧州限定のリーグランキングです。
2023年6月現在、ベルギーリーグのカントリーランキングは8位となっており、直近10シーズン(2013/14シーズン~2022/23シーズン)の平均は9.3位(8位~13位)と欧州5大リーグには及びませんが、この順位は決して低くなく、欧州の中堅リーグの1つ言っても差し支えなさそうです。
チャンピオンズリーグの成績で測る
チャンピオンズリーグは、欧州最強を決める大会です。その成績を通じてベルギーリーグのレベルを評価するために、直近10シーズン(2013/14シーズン~2022/23シーズン)のチャンピオンズリーグの成績を比較します。
- ベルギー勢のCLの成績
ラウンド16 2回
グループリーグ敗退 9回
予選敗退 9回
ベルギー勢がグループリーグを突破したのは『2015/16シーズン』のヘントと、『2022/23シーズン』のクラブ・ブルッヘの、2回だけとなっています。
一方、他の欧州主要リーグのグループリーグ突破回数は以下のとおりです。
- イングランド 37回
- スペイン 31回
- ドイツ 29回
- イタリア 21回
- フランス 15回
- ポルトガル 11回
- オランダ 3回
- ウクライナ 3回
- ロシア 2回
- トルコ 2回
- スイス 2回
- ギリシャ 1回
- オーストリア 1回
ベルギー勢のチャンピオンズリーグの成績は、欧州5大リーグやポルトガルと比べると大きく劣っています。ですが、ベルギー勢は一定の成績を収めており、欧州5大リーグに次ぐ勢力の1つと言えます。
日本人選手の活躍で測る
現在多くの日本人選手がJリーグからベルギーリーグに移籍していますが、この流れは川島永嗣が活躍したとことがきっかけです。この流れは2017年ごろからより活発になっており、Jリーグから20人以上が移籍しています。
そして移籍した選手の多くはベルギーリーグで通用しており、中にはステップアップに成功した選手もいます。
Jリーグからベルギーリーグに移籍することは、環境の変化やチームスタイルの変化などの困難が伴います。それでも活躍できるのは、Jリーグとベルギーリーグのレベルがさほど変わらないからではないでしょうか。
ベルギーリーグのレベル 結論
結論として、ベルギーリーグはUEFAカントリーランキングやチャンピオンズリーグの成績で見ると、欧州5大リーグには及びませんが、それに次ぐ中堅レベルのリーグであり、決してレベルは低くないと言えます。
また、Jリーグから移籍した日本人選手の活躍を見ても、Jリーグとベルギーリーグとの間に大きなレベルの差は無いと言えます。
日本人がベルギーリーグに移籍するのはなぜ?
Jリーグから競技レベルがさほど変わらないベルギーリーグに挑戦する理由はなんなのでしょうか?それには以下の3つの理由が考えられます。
- 挑戦しやすいレベル
- スカウトの目に留まりやすい
- 外国人枠の緩さ
挑戦しやすいレベル
Jリーグから直接欧州5大リーグに移籍した場合、レベルが高すぎたり、欧州の環境に適応できていない等の理由で活躍できない可能性があります。
レベルが高すぎて出場機会が得られない場合、プレイヤーとして成長できなかったり、評価が上がらずステップアップできなかったりします。特に若手選手は試合を経験することが成長につながるため、出場機会の確保は重要です。
また、初めての欧州移籍の場合、欧州の環境になれる必要があり、環境面での適応と、リーグのレベルの高さの両方で困難を伴うことがあります。
そのため、まずはJリーグのレベルと大差ないベルギーリーグに移籍することで、出場機会を確保しつつ、自身の成長を促し、欧州の環境に慣れることを狙っています。
スカウトの目に留まりやすい
ベルギーリーグは欧州でそれなりに評価されているリーグであり、スカウトから見たら、極東のJリーグでプレーしている選手よりも、欧州のベルギーリーグでプレーしている選手の方を評価します。
また、ベルギーはフランスやドイツと接しており、イギリスとも近いため、スカウトが実際に足を運びやすく、注目を浴びやすい環境でもあります。
外国人枠の緩さ
ベルギーリーグは外国人枠がありません。最低6人のベルギー国内で育成された選手を登録する必要があるだけです。そのため、選手側は外国人枠の問題で出場機会を失う心配がなく、クラブ側は外国人選手の獲得に積極的になれます。
この外国人枠の緩さが、日本人選手にとって有利に働いています。
日本人選手がベルギーリーグに移籍する理由まとめ
日本人選手がベルギーリーグに移籍する理由は、ベルギーリーグが挑戦しやすいレベルであることや、スカウトの目に留まりやすいこと、外国人枠の緩いことの3つが挙げられます。
ベルギーリーグはJリーグとレベルが近く、外国人枠が緩いため、出場機会を確保しながら欧州に慣れ、成長できる環境です。また、ベルギーリーグでプレーしている選手はスカウトの目に留まりやすく、ステップアップのチャンスが増えます。
これらの要素が、日本人選手がベルギーリーグに移籍する理由になります。
サッカーベルギーリーグのレベルのまとめ
今回はベルギーリーグのとはなにか、プレーオフとはなにか、リーグのレベルは高いのか低いのか、なぜ多くの日本人選手が移籍するのかについて解説しました。
ベルギーリーグではレギュラーシーズンが終了した後に、プレーオフを行い優勝チームや降格チームを決定します。また、ベルギーリーグは欧州の中堅レベルであると言えます。
日本人選手が移籍する理由には、挑戦しやすいレベルであることや、外国人枠が緩いところ、スカウトの目に留まりやすいことが挙げられました。